外壁塗装で見積もりを取ると、工事内容の中に「下地補修」という項目が入っていることがあります。「外壁の塗装を依頼したのに、なんで関係ない工事が入っているの?」と不思議に思われるかもしれません。

この下地補修、実は外壁をしっかり塗装するために必要不可欠の作業なんです。そのため外壁を塗装する際、一緒に実施されるケースが多いです。

今回は、外壁の下地補修とはどんな工事なのか、塗装とどう関係してくるのか、このあたりを見ていきたいと思います。

外壁塗装における下地とは

下地とは、何らかの工事を行うときの素地(土台)を指します。外壁塗装における下地は、とりあえず塗料を塗る土台=外壁そのもの(外壁材)と思っておいていただければ大丈夫です。

外壁材としては現在、モルタル、窯業(ようぎょう)系サイディング、その他のサイディング(樹脂系、木質系、金属系など)の3種類が主に使われています。

モルタル ・古い建物に使われている外壁材
・耐火性などに優れるが、ひび割れやすいなどの欠点も
窯業系サイディング ・現在の主流の外壁材
・ひび割れにくく、かつ軽いため、日本の住居に適している
その他のサイディング ・近年は金属系サイディングの建物が増えている
・樹脂系や木質系は、ほとんど使用されていない

 

地震大国の日本の外壁には、揺れに強い外壁材が適しているため、今は軽くてひび割れなどに強い窯業系サイディングが主流となっています(2017年現在、国内で使われる外壁材の8割以上が窯業系サイディングです)。古い住宅の外壁はモルタル仕上げが多いです。

外壁塗装における下地補修とは

下地補修とは、この下地(外壁材)を補修する工事を指します。これには、次のような様々な工事があります。

高圧洗浄 外壁材の古い塗料を高水圧のシャワーで洗い流します。外壁に古い塗料が残っていると、新しい塗料がしっかり塗れません。
シーリング工事 外壁材の隙間を埋める充填材のことをシーリングといいます。これは経年劣化などで剥がれたり、千切れたりしてしまいます。これを放置していると、外壁の塗装を塗り替えても、この損傷箇所から雨水が浸水するなどして、建物が傷んでしまいます。
ひび割れ・浮き・剥がれの補修 外壁材は、経年劣化や風雨など外的要因の影響で、ひび割れたり、剥がれたりすることがあります。
カビ・サビの除去 カビやサビなどが外壁材に残っていると、塗料がしっかり乗りません。また外壁材が劣化したままのため、塗料で補強してもそこまで効果的ではありません。
防水シートの交換 外壁材の下には通常、防水シートが施工されています。雨水などが塗膜や外壁材を越えて内部にまで侵入したとき、これを止める役割を持っています。この防水シートが劣化している場合、交換してから外壁の塗装を塗り直します。

 

ちなみに下地補修すべてをひっくるめて「ケレン作業」と呼ぶこともあります。高圧洗浄などをケレン作業と区別する業者もありますが、基本的に下地補修=ケレン作業と思っていただいて大丈夫です。

ちなみに、ケレンとは英語の「clean」が転じた単語だといわれています(大日本塗料株式会社「ケレンとは何か?素地調整の目的・重要性・効果」より)

外壁塗装で下地補修を行う2つの目的

外壁塗装で下地補修を行う目的は、次の2点です。

  1. 塗料を塗る面をきれいにする
  2. 塗料が付着しやすくする

1. 塗料を塗る面をきれいにする

塗料は風雨や紫外線から外壁を守ってくれるバリアのようなもので、外壁材そのものの耐久力を上げるわけではありません。
そのため、外壁材自体が劣化したままでは、いくら塗料を塗って補強しても、あまり効果はありません。

よって外壁を塗装する前には、必ず下地補修を行い、外壁材やその下にある防水シートなどをきれいにしてあげます

2. 塗料が付着しやすくする

下地が補修されていない状態で塗料を塗ると、塗料の付着が甘くなり、塗膜が水ぶくれのように膨らむことがあります(「塗膜の膨れ・浮き」といいます)。こうなった塗膜は剥がれたり破れたりし、本来の機能をじゅうぶんに発揮してくれません。

そのため、外壁に塗料がしっかり付着するよう、高圧洗浄などで外壁を整えてあげる=下地補修が必要になります。

下地補修作業の4分類

下地補修には上記のように様々な作業がありますが、下地の状態に応じて何をどの程度行うのか、以下のような基準があります。

  さび面積 塗膜異常面積 作業内容
1種 ブラスト工法
2種 塗膜の30%に錆びが見られる 動力工具と手工具との併用
3種 A 塗膜の15〜30%に錆びが見られる 塗膜の30%以上に錆び以外の異常(剥落、膨れなど)が見られる 同上
B 塗膜の5〜15%に錆びが見られる 塗膜の15〜30%以上に錆び以外の異常(剥落、膨れなど)が見られる 同上
C 塗膜の5%に錆びが見られる 塗膜の5〜15%以上に錆び以外の異常(剥落、膨れなど)が見られる 同上
4種 塗膜の5%以下に錆び以外の異常(剥落、膨れなど)が見られる 同上

(参照:大日本塗料株式会社「ケレン・素地調整の種類「1種・2種・3種・4種ケレン」の概要、違い」より。記事中の同表は(公社)日本道路協会『鋼道路橋防食便覧 平成26年3月』p.Ⅱ-138を参照の上、作成されている)

 

  • 1種では、さびと古い塗膜を徹底的に取り除くために、ブラスト工法という大がかりな工事を行います。基本的に一般の戸建て住宅などでは、このレベルの作業は行いません。
  • 2種も塗膜異常(さび以外の異常。剥がれ、膨れなど)がないため、錆びと古い塗膜の除去が中心です。
  • 3種は、さび以外の塗膜異常があるため、そちらの補修が必要です。
  • 4種は、さびがなく、塗膜異常もほとんど見られないため、塗料が乗りやすくするため下地に凸凹(アンカーパターン)をつける作業を中心に行います。

ただし、こちらはあくまでも目安です。法律などで「こうしなさい」と決まっているわけではありません。外装の下地の状態に応じてどんな補修を行うかは業者によっては変わってくるので、注意してください。

塗料が乗りやすくする作業「アンカー形成」も必要

上表の4種の解説で「アンカーパターン」という単語が登場しました。この点について最後に軽くふれておきましょう。

下地補修はキズなどを直して、塗料が外壁材にしっかり乗るようにする作業ですが、これとは別に「アンカーパターン」をつける作業も必要になります。この工程は「アンカー形成」や「目荒し」などと呼ばれます。

アンカーパターンとは、アンカー(船の錨)のような役割を果たすパターン(模様)という意味です。錨を下ろしたように塗料がしっかり付着するよう、外壁材に施された凸凹模様を指します。
外壁の表面がつるつるしていると、塗料は滑ってしまいます。対して凸凹していると、塗料の触れる表面積が増えるため、しっかりと付着します。

モルタルが主流だった時代には「スタッコ仕上げ」と呼ばれる作業で、同様のパターンを施工する工程がありました。名前こそ違いますが、作業の目的は同じです。

まとめ

ご覧いただいたように、下地補修がしっかり行われていないと、いくら外壁の塗装を塗り替えても、耐久性や耐水性の向上といった効果は見込めません。
ですが、いきなり見積もりに「下地補修」などと書いてあると「関係ない工事までされる」と誤解してしまう方も、稀にいらっしゃいます。

下地補修は、塗料の機能を最大限発揮するために必要な工事です。その点は忘れないでください。

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