物件を探しているとき、建物の外観は入居を決める理由の一つなのではないでしょうか。家賃や間取り、設備ほど重要視していなくても、やはり外観が汚れてボロボロだったら、「この物件の管理は大丈夫なのだろうか……」と心配になってしまいますよね。
そういった意味で、マンションの外壁塗装は戸建て住宅以上に重要と言えるかもしれません。
外壁塗装をすべきタイミングは?
国土交通省の『改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル』によれば、大規模修繕は12年目程度を目安に行うよう記されています。
大規模修繕とは、設備の劣化具合に応じた修繕や、性能向上を目的とした改修工事のことです。
足場の設置から、下地の補修、シーリング工事、高圧洗浄、塗装、防水などをおこないます。
ただし、建物の立地状況や劣化具合によって、外壁塗装の頻度は変化します。
外壁や柱のひび、コンクリートの欠けやはがれ、タイルの脱落、漏水の跡など、目で見てすぐに判別できるような劣化がある場合は、専門家による判定も視野に入れましょう。
塗料選びは次の大規模修繕を見据えて
塗料にはいくつかの種類があり、それぞれ価格や耐用年数に違いがあります。
マンションの外壁を塗装する場合、どんな塗料を選べばよいのでしょうか?
代表的な塗料の種類を確認しておきましょう。
アクリル
耐用年数:3~5年
低価格ですが耐久性が低く、定期的に塗り替えが必要になります。少しでも費用を抑えたい場合などは検討の余地があります。
ウレタン
耐用年数:5~7年
アクリルより少し価格が高い分、耐久性もある塗料。
シリコン
耐用年数:7~10年
アクリルやウレタンより高価なものの、耐用年数も長くなり価格と機能のバランスが良くコストパフォーマンスに優れた塗料。
フッ素
耐用年数:15年~
非常に耐久性に優れた塗料。シリコンよりもさらに高価ですが、頻繁に塗装工事ができない大規模なマンションや商業施設で多く使われる。
無機塗料
耐用年数:18年~
劣化しにくい無機物を主成分とした塗料。その耐久性はフッ素以上で、長期間にわたって外壁を保護してくれますが、その分価格も高額です。
マンションの外壁塗装の場合、そのほとんどのケースで足場が必要になることを考えると、大規模修繕に併せて塗装工事をおこなうのがよいでしょう。
塗装工事だけを別でおこなった場合も足場は必要なので、その分費用がかかってしまいます。
次の大規模修繕を見据えておくことが、コストパフォーマンスに優れた塗料選びにつながるでしょう。
色と臭気も忘れてはいけない
ここまで塗料の種類ごとの価格や耐用年数を見てきました。
ですが、塗料を最終決定してしまう前にもう少し気にしなければいけない点があります。それは「色」です。
この記事の冒頭でも述べた通り、マンションの外観は入居率にも影響します。想定した入居者層にあった色を選ぶことも塗料選びで大切なポイントです。希望の色が選んだ塗料の種類で実現可能かどうかをしっかり確認しましょう。
また、塗料には水性や油性などの種類があります。油性の塗料は水性より耐久性に優れるとされていますが、刺激臭がする場合があります。マンションの住人や近隣住民のことを考慮した塗料選びも必要になってきます。
最近では刺激臭の少ない油性塗料や、高耐久の水性塗料なども開発されていますので、塗装業者とよく相談して最適な塗料を選びましょう。
マンション住民へのしっかりとした周知も重要です。
工事に要する期間と工程
外壁塗装工事の期間はマンションの規模によります。建物が大規模なほど長期間となり、50戸未満なら1~3ヶ月程度、50戸以上であれば3ヶ月~半年かかります。
それでは一般的なマンションの外壁塗装工程を見ていきましょう。
足場の設置
安全に作業をおこなうために足場を設置します。不安定な場所での作業は、塗装品質の低下につながる場合もあり、足場の確保は重要です。
高圧洗浄
まず、高圧洗浄機で外壁の汚れを落とします。汚れが残ったまま塗装すると、塗料本来の保護機能が発揮されず、想定する耐用年数よりも早く劣化する原因になってしまいます。
下地処理と養生
サビの除去やひび割れの補修、コーキングなどをおこないます。ヒビ割れなどを放置したまま塗装すると塗膜が形成されず、そこから劣化していきます。
この工程は外壁の劣化具合に応じて、高圧洗浄より前におこなわれることもあります。
ここまで完了したら、養生をおこない、塗料がついてはいけない部分を保護します。
塗装
塗装は一度塗って終わりではなく、下塗り・中塗り・上塗りの3回おこなわれることが多いです。また、塗装作業の度に乾燥させる必要があります。
塗装後は足場を解体し、資材を撤去して完了となります。
マンション居住者だけでなく、近隣住民にも周知を
塗装工事中は、少なからずマンション居住者に不便をかけます。
具体的には、足場があることに対する防犯上の不安であったり、ベランダが使えず洗濯物が干せない、などです。
また、塗装中の刺激臭や、足場の組立・撤去中の騒音などは、近隣住民にも影響があるため、告知期間を十分にとって、理解を得ることが重要です。
まとめ
マンションの外壁塗装は、戸建住宅と比べると規模も費用も工数も大きくなります。
オーナーが一人で全ての工程を把握して管理することは難しいかもしれません。
そこで、親身に寄り添ってくれる業者選びが重要になってきます。1社ではなく複数社に見積もりを依頼し、価格だけでなく過去の実績なども考慮して業者を選びましょう。
そのとき、この記事の知識がお役に立てることを願っています。