マンションの大規模修繕工事の費用はいくら?目安と費用の内訳を紹介

この記事では、マンションの大規模修繕工事の費用の目安や内訳を紹介します。

マンションの大規模修繕とは

マンションの快適な住環境を守る修繕・改修工事の一つです。工事内容が大規模、工事費が高額、工事期間が長期間にわたるものを大規模修繕と言います。具体的には足場をかける大がかりな工事や工事費が一戸あたり100万円前後、数か月から半年以上もの工事期間がかかるものです。工事箇所は建物全体の共用部分である外壁や屋上、共用廊下、階段、バルコニー設備関係などです。自室の専有部分は対象外のため、ご注意ください。

マンションの大規模修繕工事が必要な理由

大規模修繕の目的は二つあります。経年劣化による建物の耐用性の低下の防止と建物や設備の性能向上です。建物は年数が経つと必ず、外壁や屋上や床の性能が低下します。

例えば、外壁のひびや塗装の剥がれ、屋上や床の防水機能の低下です。それらを放置しておくと建物内部も傷み内部のコンクリートが腐食し強度が低くなります。最終的には住環境が悪化し、資産価値も低下してしまいます。

また、マンションの外壁に断熱性や遮熱性の機能をもたせる等、性能を向上させる目的でも実施します。

マンションの大規模修繕工事費用の目安は

平成29年5月~7月にかけて実施された国土交通省のマンション大規模修繕工事に関する実態調査によると、大規模修繕工事の費用で最も多いのは、一戸あたり76万円~125万円程度と報告されています。

単純計算で50戸ある中規模マンション一棟あたり5,000万円前後の費用が発生します。また、大規模修繕の回数を重ねるほど、一戸あたりの金額は減少する傾向です。平均値を見ると3回目以上では一戸あたり80万円程です。

もちろんマンションの規模や状態によって金額は変わります。大規模修繕工事前には住民説明会が開催されます。説明会に参加し内容を確認してください。

引用:国土交通省 マンション大規模修繕工事に関する実態調査

マンションの大規模修繕工事費用の内訳は

また同じ調査によると、大規模修繕工事の内訳は外壁関係が24%、防水関係が22%、仮設工事が19.2%です。工事金額の内訳として多いのは、外壁の塗装やタイルの補修、屋根や床の防水となっています。

マンションの大規模修繕工事の費用内訳の一例

大規模修繕工事の総額が約3,000万円として考えてみましょう。

仮設工事の費用

費用の目安は総額の約20%である600万円程度です。

仮設工事は2種類あります。一つ目は直接仮設工事です。マンション周りの足場や、飛散防止シート、資材の運搬、安全対策などが含まれます。また、タワーマンションと呼ばれる超高層マンションでは、特殊な足場が必要です。そのため、一般的なマンションよりも仮設工事の料金は高くなります。

二つ目は、共通仮設工事です。仮設事務所や仮設トイレなどが該当します。またこれらの料金には、工事に関わる水道代金や電気料金も含まれます。

外壁補修の費用

費用の目安は総額の約25%である約750万円です。多くの場合、大規模工事において外壁補修の工事が主な作業です。外壁の塗装の他に外壁材やタイルの補修のほか、シーリング処理や下地補修も実施します。

下地補修はコンクリートの剥がれや欠損、ひび割れ、爆裂、鉄筋のサビ、モルタル部分のひびを補修する工事です。下地補修が不十分だと外見が良くても早期にひび割れや剥がれなどの欠陥が発生します。建物の耐久性を保つためにも重要な工事なのです。

防水工事の費用

費用の目安は総額の22%である660万円です。

屋上や廊下、階段、部屋のベランダの防水工事をします。屋上は外気や紫外線などの刺激に常にさらされています。そのため、劣化が激しい箇所です。防水工事は施工する工法により費用が異なります。

大規模修繕工事の費用の6割は仮設工事、防水工事、外壁工事に関連します。その他は、鉄部の塗装や共用内部、給水やガスなどのインフラ設備費用です。

鉄部等の塗装の費用

費用の目安は総額の約5%である150万円です。鉄部等の塗装はマンション内で鉄が使用されている箇所を中心にサビを落とし塗装する工事です。下地補修と同様に塗装前にサビを落とし、防錆塗料を塗布します。

給水設備の費用

大規模修繕工事の回数にもよりますが、平均で7%程度の費用が発生します。およそ210万円です。給水管や給水ポンプの交換費用です。築年数が浅いほど補修費用は少ないですが、2回、3回と修繕工事を繰り返すほど費用は増加します。

コンサルタント費用

大規模修繕工事の計画や、工事会社の選定、工事期間中の現場管理をコンサルタントに任せると総額の10%程度の費用が発生します。3,000万円の総工事費とすると300万円程度です。

共用部の設備やその他費用

共用内部や電灯、ガス、消防、昇降機、ガスなどの設備修理も大規模修繕工事にて実施されます。一つ一つは、1%以下の割合です。全て合わせて400万円から500万円程度です。

マンション大規模修繕工事の費用の原資は

大規模修繕費用は修繕積立金から充当されています。修繕積立金は住宅ローンや管理費とは別に住居者が支払わなければなりません。分譲マンションでは大規模な修繕に数千万円程度の費用が発生します。多額の費用を一度に徴収するのを防ぐため、修繕積立金として毎月徴収しています。

国土交通省によると平成30年度における一戸あたりの月の平均修繕積立金の額は約1.1万円、駐車場の使用料等からの充当額を含むと約1.2万円です。

参考:国土交通省 Ⅰ 平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状 

大規模修繕費用が足りない場合

計画的に修繕積立金を徴収しても、費用が足りないこともあり得ます。その場合、次の対処法が考えられます。

1. 相見積もりを取る

必ず複数社の見積もりを比較しましょう。不当に高い費用を払うの避けるためです。また、管理会社やコンサルティング会社に任せきりはやめましょう。管理会社は業者から紹介料をもらっている可能性があります。一部のコンサルティング会社ではつながりの強い業者を集めて、バックマージンを得ていることもあります。

見積もりを取るのは、5から10社が理想です。建築業界誌などで公募し、幅広く業者を比較するのがおすすめです。

2. 工事内容を見直す

早急な処置が必要ない工事は延期すれば、費用の削減が可能です。工事の必要性の有無を改めて確認し、取捨選択をしてください。

3.  助成金・補助金の活用

自治体によっては、大規模修繕に対する助成金・補助金が設けられています。自分たちの都道府県、市区町村の制度を確認してみましょう。

4. 一時金を徴収する

足りない費用を緊急に徴収する方法です。他の手を打っても費用が不足する場合に実施されます。ただし、強制はできず住民の合意が必要です。

大規模修繕費用の追加費用が発生する場合

時に見積もり以上に費用が発生する場合もあります。目視で発見が難しい故障が発見された場合などです。

例えば、エレベーターや給水ポンプなどのインフラ機器の内部は、細部を詳細に把握した際に、部品交換や塗装等の追加工事が提案されることもあります。

また、外壁タイルは実際の数量から費用を算出する「実数精算方式」が採用されています。そのため、見積もり時よりも数量が増加し追加費用が発生する可能性があります。 本来の工事は見積もり以上の費用が発生しない「責任数量」ですが、外壁タイルの数量は足場を作成しないと正確な数字が把握できないため「実数精算方式」を適用しているのです。