外壁の塗装が膨れる原因について
建物の外壁に、水膨れのような箇所があるのを見たことはありませんか?

写真の窓の上あたりのイメージです。少し盛り上がっているのが分かると思います。
これは外壁の塗膜(塗料が乾燥して膜状に固まったもの)が、何らかの原因で膨れてしまった結果です。放置しておくと塗膜が破れてしまい、露出した外壁材が雨風に晒されて劣化が早まるなど、建物にダメージが入ってしまいます。
今回は外壁における塗装・塗膜の役割や、塗装の膨れが生じる原因についてお伝えします。
塗膜とは
塗料は乾燥すると膜を形成します。これが塗膜です。
外壁は日夜、雨や風、紫外線や排気ガスなどに晒されているため、むき出しのままではどんどん劣化してしまいます。最悪、外壁材にひびが入って、そこから雨水が侵入して雨漏りが起こったり、錆びやカビが出たりといった事態にもなりかねません。
塗膜は、こうした外的要因から外壁材を守るバリアのような役割を持っています。
外壁は、建材どうしの間の隙間や、ベランダとの接合部、板金(雨樋など)との接合部など、どうしても脆弱な部分が出てきます。こうした狭い箇所、入り組んだ箇所などを補強するためには塗料が欠かせません。

塗料にはカビや汚れに強い、防音性や防水性に優れるなど、さまざまな機能があります。そのため、建物の状態や置かれた環境を踏まえて塗料を選びます。また塗料には耐用年数があるため、定期的な再塗装が必要です。
なお、外壁塗装によって外壁材自体の耐久性や耐水性などの性能が向上するわけではありません(あくまで外壁の上に別のバリア層を作るだけです)
塗料にはどんな機能があるのか詳しく知りたい方は、よろしければ以下も併せてご覧ください。
*塗料とは
http://neotex.jp/paintingmt/
塗膜の膨れが問題の理由
この塗膜が何らかの原因で膨れてしまうケースがあります。塗膜の「浮き」とも呼びます。
塗膜の膨れが問題となる理由は、主に次の2点です。
- 剥がれて外壁材が露出し、建物にダメージが及ぶ
- 美観を損ねる
まず、塗膜は膨らむと破れやすくなります。塗装の下は外壁材のため、破れると風雨や紫外線などが露出した外壁材へ直接ダメージを与えます。すると外壁材が汚れたり、劣化してひび割れたりします。
そして、ひび(クラック)が生じると、その隙間から雨水が侵入して雨漏りを起こしたり、最悪、建物の構造体(屋台骨)が腐食する恐れもあります。外壁だけでなく建物自体がダメになってしまいかねないので、早急な修理が必要です。

また、塗膜の膨れは建物の見た目(美観)としてもよろしくありません。その意味でも、すぐに補修するのが望ましいです。
外壁の塗膜が膨れる原因6つ
では、なぜ外壁の塗膜は膨れてしまうのでしょうか。
大きな原因としては、次の6つがあります。
- 塗装の下に水が入ってしまう
- 塗料の乾燥が不十分
- 塗料の付着が不十分
- 塗料自体の問題
- 外壁材自体の問題
- 古い塗膜の問題
1. 塗装の下に水が入ってしまう
塗装や外壁にひびが入ると、そこから入った雨水などが塗膜と外壁材の間にまで浸水してくることがあります。
この状態で建物周囲の気温が高くなると、この水が水蒸気と化して、塗膜を内側から押し上げる形になります。これが原因で塗装が膨れます。
2. 塗料の乾燥が不十分
外壁の塗装は通常、重ね塗りをします。最も一般的なのが、下塗り→中塗り→上塗りの3ステップで塗装する方法です。
このとき、前に塗った塗料がしっかり乾燥しないうちに次の塗料を塗ってしまうと、塗膜に空気が入ってしまうことがあります。
3. 塗料の付着が不十分
塗料が外壁材にしっかり付着していないと、乾燥後に塗膜が膨れやすくなります。
付着が悪い原因には、下地が補修されていない、アンカー形成がしっかり行われていない、などあります。
下地の補修とは、錆び・カビ・汚れなどの除去、ひび割れの補修、シーリング(外壁の隙間を埋める充填材)の補修などが該当します。いずれも対応が半端なままですと、塗料がしっかり外壁に乗りません。
アンカー形成とは、外壁の表面に塗料が付着しやすくする模様(アンカーパターン)を作る作業です。これが不十分だと塗料が滑ってしまい、外壁にしっかり付着しません。
外壁の下地補修については、以下の記事に詳しくまとめましたので、よろしければこちらもご覧ください。
外壁の塗装を塗り直す前に大切な下地補修・調整について
https://neotex.jp/blog/paint/wall-paint/2838/
4. 塗料自体の問題
弾性や蓄熱性が高い塗料は、他の塗料より塗膜の膨れが生じやすいです。
弾性塗料とは、名前のとおり弾性に優れる塗料です。よく伸びるためひび割れしにくい、という特徴があります。一方、熱に弱いため、外気温が高くなると柔らかくなり、膨れを生じやすいというデメリットがあります。
蓄熱性とは、熱を蓄える性能です。高いほど熱を持ちやすいため、外気温の上昇などによって塗膜がふやけ、弾性塗料と同じく膨れてしまう可能性があります。
5. 外壁材自体の問題

よくあるのがサイディングボード、中でも窯業系サイディングボードに塗装された塗料の膨れです。
窯業系サイディングボードは蓄熱性が高く、とても熱を持ちやすいです。夏は外壁の表面温度が、外気温の倍近くまで上がることも少なくありません。
(参考)窯業系サイディング住宅外装材の挙動に関する研究
https://www.jstage.jst.go.jp/article/finex/2013/0/2013_39/_pdf/-char/ja
そのため、外壁材が窯業系サイディングの場合、熱に弱い弾性塗料などは、塗った後に外壁材の熱で柔らかくなって膨れてしまう恐れがあります。そのため(窯業系)サイディング+弾性塗料という組み合わせは通常、避けられます。
6. 古い塗膜の問題
外壁の塗装を塗り替える場合、最初に古い塗膜を高圧洗浄などで綺麗にします。
古い塗膜の除去が中途半端だと、その上から塗装しても、3と同じように「塗料がしっかり乗らない」という事態になりかねません。
すると古い塗膜と新しい塗膜のあいだに隙間ができてしまい、そこに入り込んだ雨水が水蒸気化したり、カビを発生させたりして、塗膜を押し上げてしまいます。
外壁塗装の膨れは早急に補修を
外壁は常に雨風や日光があたっているため、他の箇所より劣化が進みやすいです。その中でも膨れている箇所は耐久力が低いので、注意が必要です。外壁に膨れが見られたら、早急に補修しましょう。
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