外壁は雨や風、排気ガスや日光などに晒されているため、建物の中でも劣化が早く進みます。また人目につくので、デザイン性も考えなければいけません。
ですが、最近は外壁材の種類も増え、実に多種多様なラインナップとなりました。それぞれ機能やメリット・デメリットが異なるため、その中からご自宅に最適な外壁材を選ぶのも大変だと思います。
ただ、外壁材の特徴を知らなければ、業者から勧められたものが本当に最適なのか判断もできません。建築業者・リフォーム業者の中には、減りはしたものの、まだ悪徳業者が他業界と比べて多いのが実情です。
そこで今回は、外壁材の種類とその特徴についてまとめてみたいと思います。
日本の外壁材の80パーセント近くは窯業系サイディング
日本窯業外装材協会によれば、2017年の外壁材のシェアランキングは、次のようになっています。
窯業系サイディング | 78.5% |
---|---|
アルミサイディング | 7.9% |
モルタル | 5.7% |
金属サイディング | 3.5% |
木質 | 1.3% |
ALC | 1.0% |
その他 | 2.1% |
(出典:日本窯業外装材協会「統計データ」より。データは出典元が日本サッシ協会より参照)
ご覧のように窯業系サイディングが1強です。また全体の80%以上をサイディングボードが占めているのも特徴的ですね。かつて主流だったモルタルは今、わずか5.7%にまで落ち込んでしまいました。
後ほど詳しくお伝えしますが、窯業系サイディングは、ひび割れしにくい上に軽いため、地震大国である日本の住居に最適です。価格もそこまで高くなく、最も主流な建材=ほとんどの業者が施工・修理できるという安心感もあって、多くのシェアを獲得しています。
それぞれの外壁材の特徴およびその比較
それでは、ランキングに登場した外壁材の特徴について見ていきましょう。
サイディング(サイディングボード)
外壁材シェアNo.1のサイディングは、サイディングボードとも呼ばれます。ボードという名前のとおり四角いタイル状の板で、これを建物の壁に貼っていきます。
サイディングは、素材によって大きく次の4種類に分かれます。
窯業系サイディング | セメント質と繊維質を原料として作られたサイディング |
---|---|
金属系サイディング | アルミニウムやガルバリウム鋼板などをもとに作られたサイディング |
木質系サイディング | 木材を使って作られたサイディング |
樹脂系サイディング | 樹脂を原料として作られたサイディング |
窯業系サイディングの特徴
先ほどお伝えしたように、ひび割れに強く、軽いのが特徴です。建物は重くなるほど揺れに弱くなるため、日本のような地震大国では、屋根材や外壁材は軽いほうが良いとされます。そのため現在、外壁材は窯業系サイディングが主流です。
金属系サイディングの特徴
金属によって特徴が変わります。
まずアルミサイディングは、窯業系よりもさらに軽いサイディングです。ひび(クラック)が入りにくく、断熱性や耐久力にも優れる、とても優秀なサイディングです。ただし、そのぶん高いというデメリットがあります。
ガルバリウム鋼板のサイディングは、最もコストパフォーマンスに優れています。
ガルバリウム鋼板とは、かつてアメリカの企業が開発した、アルミニウム55%・亜鉛43.4%・シリコン1.6%組成の合金めっきを施した鉄板です。耐久性、断熱性、耐食性など、さまざまな機能が平均的に高く、コストもアルミサイディングほど高くありません。
しかし、軽い反面とても薄いため、雨や物が当たったときに大きな音がします。
木質系サイディングの特徴
木材で作られているため、自然の味わいが楽しめます。一方、木材ですので燃えやすいという難点があります。また製造にコストと手間がかかるため、価格も少し高めです。
樹脂系サイディングの特徴
雨漏りに強く、加えて軽いという特徴があります。さらに耐久力が高く、メンテナンスコストがそこまでかかりません(塗装の塗り替えが不要です)。一方、ガルバリウム鋼板同様、薄いため防音性に難があります。
なお、木質系と樹脂系のサイディングは、国内ではほとんど使用されていません。
4種類のサイディングの特徴を、簡単な表にしてみましょう。
窯業系 | 金属系 | 木質系 | 樹脂系 | ||
---|---|---|---|---|---|
アルミ | ガルバリウム鋼板 | ||||
耐用年数 | 7〜10年 | 15〜20年 | 10〜15年 | 10年 | 20年 |
耐久性 | △ | ◎ | ◯ | △ | ◎ |
耐熱性 | ◯ | ◎ | ◎ | △ | ◯ |
断熱性 | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ |
防腐性 | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ |
防音性 | ◯ | ◯ | △ | ◯ | △ |
重さ | ◯ (=軽い) |
◎ | ◎ | ◯ | ◎ |
導入コスト | ◎ (=安い) |
△ | ◯ | △ | ◯ |
メンテナンスコスト | ◯ (=安い) |
◯ | ◯ | △ | ◎ |
ざっくりまとめますと、
- とにかく機能性第一 : アルミサイディング
- コストパフォーマンス重視 : ガルバリウム鋼板
- 必要最低限の機能性を確保しつつコストを抑えたい : 窯業系サイディング
- とにかくデザイン性・雰囲気重視 : 木質系サイディング
- なるべく長持ちするほうがいい : 樹脂系サイディング
このようなイメージです。
モルタル
ひと昔前の外壁材といえば、モルタルが主流でした。
モルタルとは、砂(細骨材)とセメントと水を練り混ぜ合わせた材料です。左官職人さんがこれを外壁に直接、塗っていき、モルタルの上にリシンなどの化粧材を吹き付けて外壁が完成します。
メリットとしては、
- 頑丈(コンクリートより耐久性がある)
- 耐火性に優れる
- オンリーワンの外壁になる
- 塗装で色を自由に変えられる
などがあります。
逆にデメリットとしては、伸びにくい材料のため引っ張る力に弱く、ほかの材料よりひび割れやすいです。
ちなみに、モルタルを塗った後に行う仕上げには、主に次の3種類があります。
リシン仕上げ | ・モルタルの上にリシン材を吹き付ける方法 ・表面に凹凸ができる ・ひび割れやすい ・掻き落としという、吹き付けたリシンを専用の金具でひっかいて仕上げる工程を取ることも ・コストパフォーマンスなら一番 |
---|---|
スタッコ仕上げ | ・モルタルの上にスタッコ(化粧しっくい)を吹き付ける方法 ・リシンよりも粗い凹凸が表面にでき、高級感ある仕上がりとなる ・凹凸が大きいため、その上に塗る塗料が付着しやすい ・凹凸が大きいため汚れやすい |
吹付けタイル仕上げ | ・モルタルの上に吹付けタイルという材料を吹き付ける方法 ・吹付けタイルとは、樹脂や寒水石、骨材などで作った仕上げ材(タイル風なだけで、実際はタイル状ではない) ・「吹放し仕上げ」と「凸部処理仕上げ」の2種類がある ・モルタルに付着しやすく、施工も簡単 |
最近はひび(クラック)が入りにくい樹脂ベースのリシン材が登場するなど、化粧材も進化しています。
ALC
内部に気泡を含んだ外壁材です。Autoclaved Lightweight aerated Concreteの略で、
- Autoclaved:オートクレーブ(高温高圧蒸気養生)処理された
- Lightweight:軽量
- aerated:空気を供給された
- Concrete:コンクリート
つまり「オートクレーブ処理によって軽い気泡を含んだコンクリート」です。
特長としては、
- 耐久性に優れる
- 断熱性に優れる
- 耐火性に優れる
- 防音性に優れる
- 軽い
など非常に高機能な点が挙げられ、高層ビルなどの大型建築物や、庁舎などの重要建築物に使われています(参照:旭化成建材「 ヘーベルパワーボードとは」)
断熱性にも優れており、どんな環境下でも快適な環境を実現できるため、ヨーロッパだけでなく世界各国で使用されています。
欠点としては、
- 高い
- パネル同士の継ぎ目が見える
- 耐候性に劣る
まず高機能なので高いです。またモルタルなどと違いパネルのため、パネルとパネルの継ぎ目が残ってしまいます。
加えて、耐候性(気候の変化に対する耐久性)に劣るため、雨や紫外線などに弱いです。そのため水に強い塗料で塗装するなど補強が必要になります。
総合的には、やはりサイディングがおすすめ
日本で使用されている主な外壁材の特徴について、簡単に見てきました。
どれを選ぶかは施主さまのご希望が第一ですが、あえておすすめを挙げるとしますと、やはりサイディングだと思います。
サイディングは機能的にも十分で、かつ最も普及しているため、どこの業者でも施工・修理できる安心感もあります。モルタルやALCも素晴らしい建材ですが、前者は左官職人の腕に左右される、後者は取り扱っている業者が限られる(急な修理・メンテナンスが難しい)ため、やや不安が残ります。
ただ、もちろん頼む業者をしっかり選定すれば、モルタルでもALCでも問題ありません。
そして、そのためには業者を見極める知識が必要です。ご希望の外壁材で、ご自宅をしっかり守るためにも、今回ご紹介した基礎知識を覚えておいてください。
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