外壁塗装に使われる塗料は、種類によって耐用年数が違います。

漠然と「最後に塗装したのが5年前だから、まだ大丈夫」と思っていても、塗料の中には3~4年と耐用年数が短いものも存在するので、5年が過ぎてしまうと、その塗装は寿命を過ぎています。

結果、いつのまにか外壁が塗膜のバリアを失い、気がついたときには壁材自体が劣化していて、大規模な修繕が必要になってしまった……などということがないように、この記事では塗料の種類ごとの耐用年数について解説していきます。

主な塗料の耐用年数

耐用年数とは、塗料が外壁を保護していられる期間のことです。基本的には耐用年数が長く、特殊な保護機能を持っている塗料ほど価格は高くなります。

塗料の耐用年数の目安は以下の通りです。

  • アクリル系塗料:3~5年
  • ウレタン系塗料:5~7年
  • シリコン系塗料:7~10年
  • ラジカル系塗料:8~15年
  • ピュアアクリル塗料:12~15年
  • フッ素系塗料:15~20年
  • 遮熱系塗料:15~20年
  • 無機系塗料:15~20年

アクリル系塗料は価格が安いのですが耐用年数が短く、外壁塗装工事ではあまり使われません。現在は、価格のわりに耐用年数が長いシリコン系塗料が主流です。
ここで示した耐用年数はあくまで目安ですが、知っておいて損はありません。

耐用年数の根拠とは

塗料ごとの耐用年数の目安を確認しましたが、その年数は「促進耐候試験」によって検証された年数です。

試験機によって紫外線など、様々な外的要因の付加をかけ、劣化の具合を確認します。屋外で試験したとしても、その時の気候条件によって結果が左右されてしまうので、均一な条件で試験をおこなうために試験機を使うわけです。

目安の耐用年数も、しっかりとメーカーが定めた乾燥時間や手順を守り、技術のある職人さんが施工したことが前提の年数です。新築時の塗装と10年後の再塗装でもやはり条件は違ってきますから「目安」なのです。

では、目安の耐用年数を知っておくことは無駄なのでしょうか?
そんなことはありません。悪徳業者の中には「独自で開発した、30年持つ塗料で塗装します!」といった言葉で営業してくる企業もあります。ちなみに現在、耐用年数が30年の塗料は販売されていません。
塗料のだいたいの耐用年数がわかっていれば、そういった業者に騙されることもありません。

安価で耐用年数が短い塗料を選ぶべきではない理由

ある程度の耐用年数を求める場合、そのぶん塗料の価格も高くなることがご理解いただけたと思います。
では、ここまで読んでいただいた人の中で、次の2択が頭に浮かんだ人も多いのではないでしょうか。

  • 価格が安く、耐用年数が短い塗料で何度も塗り替えるか
  • 価格が高く、耐用年数が長い塗料で塗装回数を少なくするか

確かに、塗料の価格「だけ」ならその2択で間違いありません。しかし、外壁塗装工事費用の多くは足場代や人件費なのです。
ですから、価格が安いからといって耐用年数の短い塗料で何度も外壁塗装工事をおこなった場合、長期的には高くついてしまいます。

また、塗装工事中は足場や養生があることで生活が不便になり、使う塗料によっては臭いの問題も発生します。
塗装工事の回数を増やすということは、こういったストレスをうける回数が増えるということにもなります。

もちろん、高くて耐用年数が長い塗料を選べば良いというわけではありません。
建物の立地条件や、その土地の気候、外壁材の種類も考慮し、予算と塗料の耐用年数のバランスを考えて塗料を選ぶべきでしょう。

価格と耐用年数のバランスが良い塗料とは

では一体どの塗料を選べばよいのでしょうか?

なるべく費用を抑えつつ、耐用年数もある程度は確保したい。そんなときはシリコン系塗料か、ラジカル系塗料を選ぶとよいでしょう。
実際、多くの塗装工事でシリコン系塗料が使われています。

もちろん、「これを選んでおけば絶対に大丈夫!」というものではありませんが、塗料を選ぶ際の参考として覚えておいてください。

劣化のサインに注意

塗装は、耐用年数が過ぎたら突然保護がなくなってしまうわけではありません。日々、外気や紫外線にさらされ少しずつ劣化していき、様々な症状が現れます。

  • 汚れ
  • 塗装剥がれ
  • ヒビ割れ
  • サビ
  • コケ
  • カビ

このような、目で見てすぐにわかるものに加え、「チョーキング」と言って、外壁の表面を手でなでると白い粉がつく現象も劣化のサインです。

どの症状も、塗膜の保護機能が劣化したことにより起きる現象です。
塗装後は耐用年数まで放置するのではなく、このような症状が外壁に現れていないか、定期的に確認するようにしましょう。

耐用年数が近づいてきたら確認の頻度を増やし、劣化の兆候が見られたらすぐ専門家に検査を依頼してください。

少しでも耐用年数を長くするために

ここまで塗料の耐用年数について見てきましたが、これはきちんと手順を守って塗装されて始めて期待できる年数です。
塗装工程で、以下の点が守られているか確認しましょう。

塗る前の工程がしっかりしているか

塗装工事は塗料を塗る前の工程も重要です。外壁の洗浄、下地の処理、そして塗装前に十分に乾燥させる必要があります。

塗り回数は3回以上か

塗装工程は、下塗り、中塗り、上塗りと、最低でも3回の重ね塗りをおこなうのが一般的です。塗装するごとに塗料をしっかり乾燥させる必要があります。

現在ではホームページ等で業者の詳細を確認できる場合があります。しっかりとした塗装実績のある業者に依頼し、確実に塗装工事をおこなうことで、塗料の機能が最大限発揮されます。

Follow me!