「家の壁を塗り替えたい!」そう思ったとき、すぐに「この塗料で!」と選ぶことができるのは、実際に塗装業をやっている人くらいではないでしょうか。

塗料と言っても、グレードや色・性能・価格といった様々な要素があり、特にはじめて塗装工事を依頼する人は迷ってしまうことでしょう。

この記事では、代表的な外壁塗装に使われる塗料の種類について解説していきます。

塗料の種類

アクリル

耐用年数:3~5年

安価で、ホームセンター等でも入手できる手軽さがウリです。ただし、他の塗料に比べて耐久性で劣り、あまり使われることはありません
少しでも費用を安くしたい場合などは選択肢になってくるでしょう。

ウレタン

耐用年数:5~7年

アクリル系塗料に比べて耐久性に優れた塗料です。密着性や防水性も高く、価格も安価なため、様々な用途で幅広く利用されています。
費用は安く済ませたいけれど、それなりの耐久性も確保したい場合などに選ぶとよいでしょう。

シリコン

耐用年数:7~10年

「迷ったらこれ」と言われるほど、耐久性と価格のバランスが良く、コストパフォーマンスに優れているのがシリコン系塗料です。ウレタン系塗料に比べてもさらに耐久性が高く、現在最も多く使われています。

アクリル、ウレタンに比べ価格は高くなってしまいますが、「とりあえず」でもシリコン系塗料を選んでおけば大幅に選択肢を絞ることができ、塗料選びをスピーディーにすることができます。

フッ素

耐用年数:15年~

シリコン系塗料よりさらに耐久性に優れているのがフッ素系塗料です。他にも、耐熱性、防水性、防カビ性も高く、長期間にわたって外壁を守ってくれます。また、親水性も高く、汚れが落ちやすいといった特徴も持ちます。

ただ、その分塗料の価格はシリコン系塗料よりも高くなってしまうので、高い耐久性を求められるビルや大規模商業施設などで多く使われています。

もちろん一般住宅に不向きなわけではありません。立地条件等で施工が難しく、耐久性を重視したい場合はフッ素系塗料が選択肢になるでしょう。

水性と油性

代表的な外壁塗料の種類を見てきましたが、同じ種類の塗料でも「水性」と「油性」が存在します。簡単に説明すると、希釈剤に水が使われているか、シンナーが使われているかの違いです。
その特徴を簡単にまとめました。

水性

  • 臭いが少ない
  • 油性より価格が安い
  • 保管が楽
  • 油性よりも耐久性で劣る

油性

  • 水性より耐久性に優れる
  • 刺激臭がある
  • 水性より価格が高い
  • 保管が難しい

最近では水性、油性のどちらもメリットを残しつつデメリットを補うような商品が開発されており、以前ほどの差はありません。

油性の方がデメリットが多いようにも見えますが、少しでも耐久性を求める場合は選択肢になります。住宅地での施工になる場合は近隣への臭いの影響を考慮して水性を選ぶ方がよいかもしれません。

このように、様々な条件によって水性、油性は判断する方がよいでしょう。

1液型と2液型の違い

塗料にはそのまま使うことができる1液型と、硬化剤と混ぜてから使用する2液型があります。
1液型と2液型の特徴を見ていきましょう。

1液型

  • 2液型より価格が安い
  • 混ぜる手間がない
  • 余った場合、翌日以降も再利用が可能
  • 2液型より耐久性で劣る

2液型

  • 1液型より耐久性に優れる
  • 混ぜてから使用する必要がある
  • 1液型より価格が高い
  • 混ぜたらすぐに使用する必要がある

1液型の方が使いやすそうですが、手間がかかる分、2液の方が耐久性に優れます。水性・油性と同様に、価格や耐久性を考慮しつつ、条件に合った方を選びましょう。

その他の高機能な塗料

ここまで紹介してきた塗料の他にも、いくつかの種類があります。近年では様々なメーカーから多種多様な機能を持った塗料が開発されています。

しかし、高機能な塗料は当然価格も割高です。最近では高機能な塗料を業者から提案されることも多いようですので、知識として覚えておくとよいでしょう。

代表的なものをいくつか簡単に紹介します。

無機塗料

一般的な塗料は有機塗料と呼ばれ、含まれる炭素が劣化の原因となります。そこで、炭素を含まない無機物を主成分とした塗料が無機塗料です。
その耐用年数は20年以上とも言われ、塗料の中でも最高グレードとされます。
反面、価格はシリコン塗料の約2倍と、かなりの高額です。

光触媒塗料

雨によって汚れが落ちてくれるセルフクリーニング機能が特徴なのが、この光触媒塗料です。耐用年数も15~20年とされ、いいこと尽くめのような気がします。

しかし、その防汚性の謳い文句を過信しすぎてトラブルにつながるなど、現在ではあまり使われていないようです。
また、価格も高額です。もし塗装業者から光触媒塗料を提案された場合はメリットばかりに注目するのではなく、冷静に検討する必要があります。

ラジカル制御型塗料

「ウレタン」や「フッ素」は、塗料の主成分となる樹脂がそのまま名前となっていましたが、このラジカル制御型塗料は少し違います。従来の塗料に、有機物の劣化の原因となる「ラジカル」を制御する酸化チタンを使用した塗料がラジカル制御型塗料です。

価格はシリコン系塗料と同程度なのに対し、耐用年数は12~15年と長く、非常にコストパフォーマンスに優れます
ただし、ラジカル制御型塗料は発売してからまだ数年しか経っておらず、業者が扱っていない場合があります。

そのため、ラジカル制御型塗料を検討する場合は業者の施工実績をよく確認する必要があります。

まとめ

いかがでしょうか。思った以上に塗料種類があって、迷ってしまうかもしれません。
ですが、逆に言えばこれだけ選択肢があるということでもあります。

実際に外壁塗装を検討しているお客様であれば、予算などである程度は塗料の種類が絞られてくるのではないでしょうか。
そんなとき、この記事を読み返して、最適な塗料を選びに役立ててください。

Follow me!