屋根の塗装は養生したり、家の周りに足場を作ったり……と、そのお宅の住人には大なり小なり不便をおかけします。どの工程に、どれだけの時間がかかるのか、気になる人もいると思います。
今回は一般的な塗装工程の作業期間についてご説明したいと思います。
これを知ることによって、だいたいどのくらいの塗装期間を確保すればいいかを前もって知ることができます。また、手抜きをするような悪質な業者を見抜く手がかりにもなります。
業者によってまちまち?
塗装業者のホームページなどを確認すると、「3日~7日」とする業者もあれば、「10日未満は手抜きを疑え!」などとする業者もあります。
では、どちらかが悪質の業者なのかといえば、そんなことはありません。前提としている屋根の状態などによって塗装期間は左右されますので、期間に幅ができてしまうのは仕方のないことなのです。
例えば、塗装は下塗り・中塗り・上塗りと3回おこなうのが一般的とされていますが、4~5回おこなう業者もあります。逆に、屋根材や使う塗料の種類によっては2回で済むこともあります。
業者によって蓄積されたノウハウに差があるので、塗装期間に差が出てしまうのは当然とも言えます。
一般的な塗装工事の工程と期間を知っておこう
では、だいたいの塗装期間を知ることはできないのでしょうか?
そんなことはありません。屋根塗装の標準的な工程と期間を知っておくことで、ある程度の期間は予測できますし、業者の見積もり内容を確認する際の手助けになるはずです。
屋根塗装はおおまかに以下のような流れでおこなわれます。
- ご近所への挨拶・塗装準備
- 足場の材料搬入・組立
- 養生
- 高圧洗浄
- 下地の補修
- 下塗り
- 縁切り(えんきり)
- 中塗り
- 上塗り
- 点検
- 足場解体
各工程に1日かかるとして、11日間はかかると想定したほうがよいでしょう。
ただし、先に述べた通り、様々な要因で塗装期間は前後します。屋根の状態だけではなく、季節や天候によって塗装工事ができない日も発生するでしょう。
そういった不測の事態も想定して、2週間程度の塗装期間を確保しておくと安心です。
各工程の内容を知ろう
この項目では、各塗装工程の簡単な内容と所要時間を確認していきます。
ご近所への挨拶・塗装準備(所要期間:1日)
工事期間、施工日時、騒音や臭いなど、塗装工事で発生することが予想される状況を、事前にご近所に伝えることで、トラブルを未然に防ぐ大事な工程です。
必要に応じて粗品をお渡ししてもよいでしょう。
実際には丸1日もかからず終了するでしょうが、告知してから時間をとった方が近隣の住人も安心でしょう。
足場の材料搬入・組立(所要期間:1日~)
建物の周囲に足場を組みます。
綺麗な塗装には、まず職人さんの安全確保から。不完全な足場は、塗装の精度低下や、塗り残しの原因になってしまいます。
1日で終了する場合がほとんですが、足場の設置を専門の業者に依頼する場合、設置期間をしっかりと確認しましょう。1~2日増えることもあります。
養生(所要期間:1日~)
高圧洗浄や塗装に備えて、飛散防止ネットの設置や、飛散防止のために養生テープなどを貼ったりして、塗装部以外への塗料付着を防ぎます。
足場の組立と同日に作業し、1日で終了することもあります。
高圧洗浄(所要期間:1~3日間)
塗装前に高圧洗浄機で屋根の汚れを落とします。
コケ・カビ・汚れが残ったままでは、塗料が屋根に密着せず、すぐに剥がれてしまう原因になってしまいます。
作業は半日から1日で終了しますが、洗浄後は乾燥時間が必要となります。
最低でも24時間。季節や下地の状態によっては48時間の乾燥時間が必要となります。
下地の補修(所要期間:1日~)
屋根材の劣化した部分を補修する工程です。ひび割れ、サビ、屋根材の浮きや剥がれなど、状態に応じて補修していきます。
屋根の状態によって必要な日数が変化してきますが、1日~数日が目安です。
下塗り(所要期間:1日)
屋根材と上塗り塗料との密着性を高めるため、塗装工程の1番最初におこなわれるのが下塗りです。
通常、3度ある塗装工程は、前に塗布した塗料のメーカー指定の乾燥時間を待ってから、次の塗装をおこなう必要があります。
乾燥時間を短縮すると、塗装が通常よりも早く剥がれる原因になってしまいます。
縁切り(えんきり)(所要期間:1日~)
スレート屋根には下塗り終了後にタスペーサーと呼ばれる部材を屋根材と屋根材の間に挿入し、スペースを確保します。この作業によって、雨水の流れを確保したり、通気性をよくしたりします。
この工程は、塗装工程がすべて収容してからの作業となる場合もあります。
作業人数にもよりますが、1~2日の作業となります。
中塗り・上塗り(所要期間:2日~)
下塗りの項目で説明したとおり、屋根塗装は通常3回おこないます。これは塗料本来の性能を引き出すために必要なためです。
塗料や屋根によっては2回で済むこともありますが、悪質な業者が工期を短縮するためだけに塗装期間を短くするというケースもあるようですので、スケジュールをよく確認しましょう。
中塗り・上塗り後にも乾燥時間が必要ですので、各工程は最短で1日ずつ必要です。
点検(所要期間:1日~)
一連の塗装工程終了後、まず業者による検査がおこなわれ、塗り残しやムラを点検します。その後、業者立会いのもと施主による検査もおこないます。
足場解体(所要期間:1日)
点検後の手直し完了後、足場や飛散防止ネットなどを解体していきます。最後に資材を撤去し、清掃して完了となります。
規模によっては点検と同日に完了することもあります。
塗装期間は短ければいいというものではない
塗装期間中は臭いや音、足場があることによる防犯上の不安など、住人の方の不便が多く、「なるべく短期間で……」と考えてしまうのは仕方のないことかもしれません。
ですが、そこで工期の短いという理由だけで業者を優先して選んでしまうと、施工不良につながってしまう恐れがあることは、ここまで記事を読んでくださった方には理解いただけたのではないでしょうか。
一般的な工程と塗装期間を理解することで、適切な工程・期間を設けた業者を見つける手がかりにしてください。